ディスカスと水その1
ディスカス飼育において最も重要なのは水質、
それも軟水を好むディスカスにはそれなりの水の性質を知っておく必要がある。
もともと南米アマゾンを故郷に持つ魚種なので弱酸性のGH,KHの低い水質が適している。
それがヨーロッパやアジアに輸出される様になり、それぞれの地域独特の飼育法があみ出された。
ヨーロッパにおいてはディスカスと言えばまずドイツ、
ここの水は相当硬い、
PHは高くマイクロジーメンス(水の不純物濃度の値)も当然高い。
勿論そのまま飲めるものでは無く、それ故住人も水に対して関心が高く、昔から家庭用の浄水器が当たり前の様に使われている。
かわってアジアのディスカスと言えばペナン、ここは軟水PHも弱酸性、マイクロジーメンスも低い正にディスカス飼育に最適な水質を持つ。
ディスカス飼育に関してもその水質の良さ故に(水道も安い)大抵フィルターを使用せずにエアーレーションのみを使用する。
よって水が汚れたら水替えしてしまう、というシンプルな飼育法だ。
ドイツの様にまず浄水し、PHやGH,KH下降剤を使って水を調理?する必要もない。
このどちらが最適か?と言えば一長一短、水を調理してフィルター飼育に頼るのか?時間を割いて毎日水替えするのか?
ではそのどちらでもない日本ではどうするのか?
これも色々意見の分かれる所でしょうが極端に言えばそのどちらかなんですよねー、
■RO浄水器、水道水の中の99%以上の不純物を除去する
■名の通り実にシンプルな浄水器、水道水の中のカルキ、重金属を除去する
■テトラPH/KHマイナス、PH・KHの下降剤
ディスカスと水その2
私がディスカス飼育を始めたのは45年も前、
その当時は実にお粗末な飼育設備でフィルターと言えば底面濾過が当たり前、
大磯砂を底にひき、PHなど考えるすべも無く簡単な水合わせの後すぐに魚を入れていた。
その当時も高価な魚であったから沢山買えたわけではないが、あまり死んだという覚えがない。
考えられることは昔の水質が良かった?もしくは熱帯魚屋の水作りのレベルが低く、
私の作った新水と変わりなかったか?というところか?
その様なお粗末な設備でも一ペアできて、産卵孵化まで経験した。
上手く体着したもののどうすれば良いのか分からず全部無くなってしまったがいい思い出として覚えている。
その当時の水質がどんなだったか今となっては知り様もないが、いい水?だったのであろう。
昔から日本の水は安全、とされている。
水道の蛇口からそのまま飲めるというのは貴重な事だ。
と、言う事は世界でも有数の飼育水に適した水質だと言える。
さて、水である。
飼育するうえで飼育水と汲み置きの水、この2つが肝になる。
つい先日新しい水槽を立ち上げたのでそこからはいります。
まず、水槽に水をはります。
この水はシンプルなどの浄水器を通したものを使用するのがベストです。
これはカルキや不純物を除去します。
他、薬剤を使用してカルキなどを中和したものとは質が違います。
フィルターに濾材(スーパーゼオセラ等)を入れ回します。
PHは水道水そのままの数値を指しています。
例えばPH7.2あたりとしましょう、
これをPH下降剤を使いPH6.0程に落とします。
(これは水がまわることによって入れた時よりPHが上昇する為です)
それからバイコム78やバイオスコールなどのバクテリアをフィルターに注入します。
一日目はこれで終わりです。
■水作りの強力な助っ人「バクテリア各種」
ディスカスと水その3
翌日、PHを測定してください。
必ず上がっています。(7.0~7.2あたりか?)
そこでまたPH下降剤を入れPH6.0あたりに合わせ、またバイコムやバイオスコールなどのバクテリアを注入します。
これを4~5日繰り返してPHの上昇幅が無くなって来ればディスカスを受け入れる準備が出来たと言う事です。
そこで楽しみだったディスカスの搬入となるのです。
次に大切なのは水合わせです。
水温、PHをほぼ同じになるくらいにあわせて (ディスカスの水合わせ方参照)
からディスカスを水槽に放します。
その後セラ社のブラックピートなどを入れてPHの上昇を防ぎます。
ここが肝です。
今の水はあくまでディスカスを受け入れる準備ができたという水です。
フィルターの硝化作用もまだ働いていません。
その水にディスカスを入れる事によってアンモニアが発生します。
このアンモニア、PHが高ければ、強烈な毒素となります。
そこでピートを使用しPHを下げ安全なものにしておくのです。
ピートが良く効いてPHが思った以上に下降しても全く問題はありません。
むしろ上質なタンニン酸が豊富に溶け出している証拠でディスカスの肌荒れなどを防ぎ、落ち着かせてくれます。
全てが新しい水槽なので搬入日を含めて2日程は餌は与えません。
バクテリアは毎日少量でもいいので注入し続けてください。
餌やりを始めれば当然水が汚れます。
フィルターの消化作用を助ける意味でも最初の水換えを行います。
■PHチェッカーは必需品 ブラックピートは安全にPHを下降させる
ディスカスと水その4
そこで忘れてはならないのが水換えによってPHを上昇させたくない、ということです。
そこで水換えに使用する水を予め作り置いておきます。
汲み置ける容器に水をはり、PH下降剤でPH5.5程に合わせる、最低6時間は必ずエアレーションをする。
PHを測定すればPH6.8~7.2辺りまで上がっているはずです。
しかしこの汲み置きの容器の中でPHが変化しにくい水になっていますから水槽に入れても水槽の水に刺激?を与えにくくなっています。
最初の水換えですから多くても四分の一程度にしておきましょう。
飼育日数が経過するとアンモニアから亜硝酸、亜硝酸から硝酸塩へと水中の内容物が変化していきます。
それぞれの変わり目が鍵でアンモニアや亜硝酸レベルが高く驚いて、大量に水換えしてしまうと元のただのカルキの抜けた水道水に戻ってしまいますから要注意です。
餌の量を減らしたりバクテリアを注入したりしてフィルターの能力を庇ってやるのが賢明です
。
この硝酸塩までの道のりさえ乗り越えれば後は簡単、多少の無茶も受け入れられる水質になっているはずです。
ポイントは毎日少しずつPHが下降していくことです。
■アンモニア・亜硝酸テスター
ディスカスと水その5
PHも順調に少しずつ下降する状態が続く、水換えもPHを元に戻すだけの量で事足りる。
水の色も輝く程透明でディスカスも気持ち良さげにホバリン グしている。
近付けば餌くれダンスを激しく踊る、もう最高、ディスカスホビィストにとっては至福の時ですよね?
ところがこの状態を長く続けるには、適切な水換えとフィルターの濾材のメンテナンスが欠かせません。
ご存知の通りディスカスの餌程、水質やフィルターにダメージを与える餌はありません。
例えばディスカスハンバーグ、これなんかは生肉そのもの、食べきれなかったもの(脂肪や蛋白質)が細かく溶けて水やフィルター内の濾材にダメージを与えていきます。
いくらバクテリアが働いたところで硝化能力を超えてしまうのです。
その表れとしてPHが急激に効果します。
昨日水換え してPHを上げたのにもう昨日と同じPHに下がっている。
こんな経験はありませんか?
そしてPHを上げたいが為に水換えの量が多くなる。
本当にイタチごっこ、短時間のPHの上げ下げで鰓にダメージを受けてしまう。
等々、この極端なPHの下降は硝化しきれなかったものが酸化した為、古くなり表面に脂肪や蛋白がへばり付いた濾材ではまともな硝化作用は望めません。
水換えだけでは追いつかないPHの下降、もう濾材の交換しかありません。
■ディスカスの主食 ハンバーグ あらゆる必要な栄養分を詰め込んである
■気持ち良さそうにホバリング
■エサくれダンスを踊る
ディスカスと水その6
濾材の交換時期は水換えではPHを上げきれなくなった時です。
そうなる前に交換しておくのが良いのは言う間でもありません。
ディスカスの収容数と水量によって濾材の傷みも異なりますが、
早ければ3か月、遅くとも6か月で交換時期がくるはずです。
その間当然詰まりなどがおきない様に飼育水などで濯いでやってください。
えーっ随分まめに交換するんですね?と聞かれますが、
考えてもみてください、
濾材表面にこびり付いた脂肪や蛋白質は水洗いしただけでは到底取りきれません。
中には水洗いして天日で干せばいい、と言われる方もいらっしゃいますが、
それこそとんでもない事ですよ、取りきれてない脂肪や蛋白を天日で干せば、、、、?
想像してみてください、まるで即席のビーフジャーキーみたいなもの、それをもう一度フィルター内に戻せますか?と、PHを下降させている要因を取り除かない事には何も変わりません。
今、どんなフィルターをお使いであっても肝は一度に全てを換えない事です。
30%から50%をまず取り換えます。
換える所はフィルターの入口に近い所を取り出し、その場所に残りの濾材をスライドさせます。
その空いたスペースに新しい濾材を入れます。
つまり水の流れのあたりが先の方に古い濾材、その後に新しい濾材をセットしバクテリアが新しい濾材に早く定着する様にします。
そこからが肝心な所で残りの濾材をいつ交換するかと言う事です。
新しい濾材にバクテリアが定着するのに1か月弱、PHがまた早く下降しそうになってきた時がその時期です。
最初の交換時と同じ方法で取り替えてください。
30%も50%も考え方は同じですが、30%の交換のほうが頻繁にとなります。
あと濾材を交換したら必ずバクテリアを注入してフィルターを助けてやってください。
その日は餌は与えないほうがいいでしょう。
この方法でPHの下降を抑えるのが最もディスカスに優しい方法だと思います。
■究極の濾材「ゼオセラ」 天然のゼオライトが主原料
ディスカスと水その7
よくディスカスは毎日水換えするんでしょ?と聞かれますが、答えはノーです。
毎日水替えするのであればフィルターは必要ありません。
ペナンの様に 水道水がそのまま使用出来て時間がたっぷりある、と言うなら別ですがそうはいかないのが日常です。
確かに水換えは気持ちいいものです。
ところがそれが毎日だったらどうでしょう?大変ですよね?それを補ってくれるのがフィルターの役目です。
ではどの様なフィルターがディスカス飼育に合っているのか?
まず理想でいえばオーバーフロー方式、水槽の下にセットする為大きなものが使えます。
次に上部フィルター、これも出来れば大型のものが良い。
ただ水槽の上にセットする為重量が問題になります。
そこでウエット&ドライの方式にして重量増を抑え、濾過能力を高めるのも一手です。
フィルターに関しては必ず大は小を兼ねると言いきれます。
うちでは大方がオーバーフローになっていて1スパン1トン、
その内フィルターが約200L、と言う事は濾過面積20%、
ところが普通の上部フィルターであればせいぜい100Lに対して僅か1L、つまり1%の濾過面積しかありません。
能力 は?言わずと知れてますよね?
販売の為の水槽ですから多くのディスカスが入っているにしても、普通の上部フィルターの所はほぼ毎日水換えしますがオーバーフローの方は週に2回程、これ程までに濾過面積の大小で水換えのスパンは変わるのです。
あと外部フィルターも使えますがあまりお勧めできません。
と言うのも密閉されている為に嫌気層となり易くかなり早い段階からPHの急降下が始まります。
■オーバーフローのフィルター
■ウェット&ドライフィルター ウェットで濾過した水がドライに流れ込む優れ物
ディスカスと水その8
ディスカスを飼育していくなかで最も重要なのは水換えなのは言うまでもない。
フィルターで処理し切れない不純物の除去や下降したPHを元に戻すには適切な水換えが必要、と言う方が正しいか?
でもいくら日本の水道水が安全とは言っても、そのまま使用する事はお薦めできない。
地域によっては蛇口をひねればPH6.5、マイクロジーメンス60なんて所も日本にあるらしいが、平均してPH7.2~7.4、マイクロジーメンス180~220を指す所が多い様だ。
この水を使って水換えするのだが、夏場で水温が合っているから、また冬場であったら湯沸かし器を通して水温を合わせ、カルキを抜いてそのまま使用する、
もしくは浄水器を通して直接水槽に入れていく人が多い様だ。
これが実は良くないんですよね?
いくら安全な水道水といっても色々な不純物が含まれています。
その不純物がPHやGH,KHの数値の元なのですが、その数値は空気に触れる事によって必ず上昇します。
その上昇する変化を飼育水の中でさせたくないのです。
PHが7.2であっても実際はPH7.8以上の水を使っている事になり、急激なPHの上昇を招いてしまいます。
これを繰り返せば必ず呼吸器である鰓に害を及ぼします。
では、どの様にすれば良いのか?
そこで水を汲み置く、事が重要になってくるのです。
■ディスカスの水換え
ディスカスと水その9
汲み置きタンクの使い方、意外と知られていないのがエアーレーションの必要性、
ただ水を汲み置いただけでは、カルキは抜けてもまだまだ変化する危険な水だと言う事、
何リッターであろうと必ずエアーレーションを行い曝気させる必要がある。
要は汲み置きの水に空気を送り込み攪拌させる事によって、PHやGH,KHを汲み置きタンクの中で変化させて安全に水換え出来る水を作る。
例えば
飼育水槽の理想のPHが6.5であったとする。
フィルター内の濾材が上手く働いていれば、過密飼育していない限り一日にPHは0.1~0.2下降する。
1週間たったとしよう。
PHは5.1~5.8になっているはず、
これをもとのPH6.5以上に上げる量の水替えをする。
これはPHの下降具合によるが5.1~6.5に上げるのと5.8~6.5に上げるのではわけが違う。
PH差が1以上違っている場合はそれだけ多くの水量を水換えする必要がありディスカスの鰓にダメージを与えかねない。
以前にもお話した様にペナンあたりではPHもマイクロジーメンスも低い水が蛇口をひねるだけで手に入る。
年中熱いので温度も気にせずそのまま汲み置いてエアーレーションし大量に水換えする。
それにフィルターも使わないので飼育水はただ汚れるだけ、汚れたら水換えするというシンプル極まりないやり方だ。
それと同じ水質があれば汲み置きの水は加工せずに使ってもいいのだがここではそうはいかない。
そこで飼育水のPHの下降具合により汲み置きタンクの水を調整する必要がある。
■どんなファームもエアレーションのみのシンプルな飼育設備(ペナン)
■水が餌で汚れれば取り換える。90%は換えてしまう。(ペナン)
ディスカスと水その10
汲み置きの水に使用する水、おかしな言い方かもしれないが水道の蛇口から直接か?
浄水器を通すか?
汲み置いてエアーレーションして曝気させるのだからカルキは抜けるにしても、
やはり水質に影響する重金属類などを除去する浄水器を使用する方が良い。
よく家庭用の浄水器を通した水は大丈夫ですか?と聞かれるがその浄水器によって能力に差があるので簡単にはハイ、と言えない。
実際、アルカリイオン水を作る浄水器もあるのだからまずお持ちの浄水器から出てくる水を計測する事をお勧めします。
さて、汲み置きタンクに水をはりました。
水道水はPH7.1、エアーレーションをかければ必ずPHは上昇します。
そこで予めPHが上昇する事を予測してPHを5.5~6.0あたりに調整してください。
6時間以上まわしていれば変化しにくい水が出来上がっています。
PHも6.8~7.0あたりになっているはずです。
この水を使って水換えしてやることによって水によるディスカスへのダメージが少なくなるのです。
■(セラ・テトラ各社 PHマイナス) 安全にPHを降下させる
■浄水器
右のシンプルは、カルキ・重金属を除去する
左のクロノスレインはRO浄水器 99%の不純物を取り除く純水製造機
ディスカスと水その11
汲み置きタンクの安全な水作りに関してご理解頂けましたでしょうか?
さて、ここからもう一つレベルの高い水作りに関してお話します。
大抵の場合PHとGH,KHは連動します。
ここまでの水作りではあえてPHを調整するのですから、PHを下降させ易い水質であればGH,KHもそれほど高くないはずです。
日本の水道水は大抵これに当てはまります。
確かにディスカス飼育には適した水だと言えるでしょう、普通に飼育するのであれば何ら問題ありません。
ところがその水をより飼育に適した水にする方法があるのです。
度々マイクロジーメンスという言葉を使いましたが、これは水の導電率を表す単位です。 純水(H2O)は電気通しません、純水に色々な不純物が混ざりあって水になり、その不純物を通電するのです。
その導電率が高い程、不純物が多く含まれていると言う事です。
不純物と言えば聞こえは悪いですが、一般にミネラルと呼ばれる有用なものも含まれます。 ここら辺りの水道水で季節によって変化しますが、マイクロジーメンスは180~200辺り、ただ、そのマイクロジーメンスに表れている数値を上げている内容物は何かは分かりません。
水道管内の鉄さびなのかも?または浄水場で使用するカルキや他の薬剤かも?近所で大きな水道管工事があった時なんかでもか なり数値は上がる様です。
ひどい所では1000を超えてしまって計測不能なんてあるみたいです。
他、不純物濃度を表す単位にppmがあります。
私達の生活上でも度々登場する単位ですよね?
表示される数値はマイクロジーメンスの約半分位だと思ってください。
ということはこの辺りのppmは90~100ppmあたりです。
実際目に見えないものですから数値が上がっていても気付くわけありませんよね?
いくら安全な水道水と言っても実際分からないと言う事です。
また、最近では集合住宅(マンションなど)の貯水槽なんかも要注意ですね、年一ぐらいで清掃する様ですがどんな方法でしているのか気になる所です。
そこまで気にしたら大変だよな、と思われるでしょうが、ディスカスにとっての水は我々の空気と同じ、汚染されていていい事あるわけありません。
息?のし易い環境作りが大切です。
ディスカスと水その12
では、息のし易い水?の作り方、まずは浄水器を使用する事です。
浄水器にもそれぞれの能力があり、コットンとカーボンを通すだけでカルキ、重金属を取り除く物からそれ以上により細かいフィルターを通し水中の不純物の99%を取り除けるものまであります。
コットンとカーボンを通すだけのシンプルな物でさえ、使用するとディスカスの発色は変わるほどです。
それ以上の水を作るにはもうRO(リバースオスモシス)逆浸透膜を持つ浄水器を使用するしかありません。
このROフィルターは安全な飲料水を作るために開発された優れモノです。
例えば沖縄の離島などで地下水に含まれている塩分を除去したりするのに使用されています。
この15年ほどの間にこの優れた浄水器は小型化され、家庭用、また熱帯魚用などにポピュラーに使用されるようになりました。
さてこの熱帯魚用です、今日の水道水の数値は92ppm、それをRO浄水器(クロノスレイン)に通します。
出来あがった水の数値は6ppm、86ppmの不純物を除去しています。
この水は純水に近い超軟水です。
PHも元と変わらず計測出来ますが、PHの高い水に入れれば高く変化するし、低い所に入れれば低くなる、性格のない水と形容するしかない水です。
飲料水としてはこれ以上のものはないのですが、この水のみを使って魚を飼育するのは不可能です。
やはりppmをあげる良質なミネラル分が必要なのです。
どんなものが必要なのか?それは次回説明することとして、まずは簡単にかつ間違いなくppmを上げる方法は、コットンとカーボンを通した水で割ってやる事です。
せっかくの純水に近い水ができたのにそれをまた割ってしまうなんてナンセンスだと思われるでしょうが、これが一番失敗しない方法なのです。
写真で順に説明します。
その1 6ppmの水
その2 92ppmの水
その3 6ppmの水に92ppmの水を割っていく
その4 33ppmの水の出来あがり
というように約30ppm~40ppmの水を作ります。
汲み置きタンクの中で作るのですから簡単ですよね?
これで即席のppmの低い水の出来あがりです。
このppmの低い水で水換えしてやることによってディスカスの調子は劇的に上がります。
ディスカスと水その13
熱帯魚を趣味とする人の大半は、その故郷であるアマゾンに夢を馳せている。
世界最大のジャングルであり、それらの樹木すべてを生い茂らせる豊かな水源でもある。
ペルーのアンデスを水源として数え切れない支流を足して大西洋に流れ込む。
その支流の中でも最大のネグロ川は、正に理想的なブラックウォーターを湛えて、熱帯魚の生息に最適な環境を作り出している。
アマゾンと言えば全てがブラックウォーターだと思われがちだが、本流は勿論、多くの支流も泥質な地盤により、お汁粉を溶かした様なねっとりとした黄色がかった茶色い水だ。
この水はどうも大型のナマズ類などが好む様でこちらの思うアマゾンのイメージから少し外れてしまう。
さて、そのブラックウォーターの源、ネグロ川、それを取り巻くうっそうとしたジャングルは硅素(水晶の一歩手前のもの)でできた白砂がメインの地質でなっている。
その上に樹木が茂り、その樹木から何層にもわたって腐葉土の層が形成されている。
ジャングルに降る雨はそれらの中をゆっくりと浸透し、長ければ何年もかけてネグロ川に流れ込むらしい。
いわばこれは自然の巨大なフィルターであり、純水である雨水に天然の濾材(腐葉土や硅素)が含む良質なミネラルが溶け込み理想的な水を作りだしている。
あのコーヒーの様な真っ黒な水なのに計測すると驚きの数値を指す。
ネグロ川の本流でPH4.0~4.2 GH KH はそれぞれ1前後、驚きは僅か3~4ppmしか指さない不純物濃度だ。
この数値はROフィルターを通してでてきた純水に近い水と同等もしくはそれを上回る数値である。
その数値を上げている内容物も硅素や腐葉土から摘出されたミネラルであり、そして川であるから絶えず新しい同様の水が流れてくるからこれ以上の上質な水は無い。
■ジャングルに降った雨は小さな流れとなりミネラルを吸収しながら川へ流れ込んでいく
■そのような水質でできたラグーン 見事な水草育成環境である
ディスカス飼育において最も重要なのは水質、
それも軟水を好むディスカスにはそれなりの水の性質を知っておく必要がある。
もともと南米アマゾンを故郷に持つ魚種なので弱酸性のGH,KHの低い水質が適している。
それがヨーロッパやアジアに輸出される様になり、それぞれの地域独特の飼育法があみ出された。
ヨーロッパにおいてはディスカスと言えばまずドイツ、
ここの水は相当硬い、
PHは高くマイクロジーメンス(水の不純物濃度の値)も当然高い。
勿論そのまま飲めるものでは無く、それ故住人も水に対して関心が高く、昔から家庭用の浄水器が当たり前の様に使われている。
かわってアジアのディスカスと言えばペナン、ここは軟水PHも弱酸性、マイクロジーメンスも低い正にディスカス飼育に最適な水質を持つ。
ディスカス飼育に関してもその水質の良さ故に(水道も安い)大抵フィルターを使用せずにエアーレーションのみを使用する。
よって水が汚れたら水替えしてしまう、というシンプルな飼育法だ。
ドイツの様にまず浄水し、PHやGH,KH下降剤を使って水を調理?する必要もない。
このどちらが最適か?と言えば一長一短、水を調理してフィルター飼育に頼るのか?時間を割いて毎日水替えするのか?
ではそのどちらでもない日本ではどうするのか?
これも色々意見の分かれる所でしょうが極端に言えばそのどちらかなんですよねー、
■RO浄水器、水道水の中の99%以上の不純物を除去する
■名の通り実にシンプルな浄水器、水道水の中のカルキ、重金属を除去する
■テトラPH/KHマイナス、PH・KHの下降剤
ディスカスと水その2
私がディスカス飼育を始めたのは45年も前、
その当時は実にお粗末な飼育設備でフィルターと言えば底面濾過が当たり前、
大磯砂を底にひき、PHなど考えるすべも無く簡単な水合わせの後すぐに魚を入れていた。
その当時も高価な魚であったから沢山買えたわけではないが、あまり死んだという覚えがない。
考えられることは昔の水質が良かった?もしくは熱帯魚屋の水作りのレベルが低く、
私の作った新水と変わりなかったか?というところか?
その様なお粗末な設備でも一ペアできて、産卵孵化まで経験した。
上手く体着したもののどうすれば良いのか分からず全部無くなってしまったがいい思い出として覚えている。
その当時の水質がどんなだったか今となっては知り様もないが、いい水?だったのであろう。
昔から日本の水は安全、とされている。
水道の蛇口からそのまま飲めるというのは貴重な事だ。
と、言う事は世界でも有数の飼育水に適した水質だと言える。
さて、水である。
飼育するうえで飼育水と汲み置きの水、この2つが肝になる。
つい先日新しい水槽を立ち上げたのでそこからはいります。
まず、水槽に水をはります。
この水はシンプルなどの浄水器を通したものを使用するのがベストです。
これはカルキや不純物を除去します。
他、薬剤を使用してカルキなどを中和したものとは質が違います。
フィルターに濾材(スーパーゼオセラ等)を入れ回します。
PHは水道水そのままの数値を指しています。
例えばPH7.2あたりとしましょう、
これをPH下降剤を使いPH6.0程に落とします。
(これは水がまわることによって入れた時よりPHが上昇する為です)
それからバイコム78やバイオスコールなどのバクテリアをフィルターに注入します。
一日目はこれで終わりです。
■水作りの強力な助っ人「バクテリア各種」
ディスカスと水その3
翌日、PHを測定してください。
必ず上がっています。(7.0~7.2あたりか?)
そこでまたPH下降剤を入れPH6.0あたりに合わせ、またバイコムやバイオスコールなどのバクテリアを注入します。
これを4~5日繰り返してPHの上昇幅が無くなって来ればディスカスを受け入れる準備が出来たと言う事です。
そこで楽しみだったディスカスの搬入となるのです。
次に大切なのは水合わせです。
水温、PHをほぼ同じになるくらいにあわせて (ディスカスの水合わせ方参照)
からディスカスを水槽に放します。
その後セラ社のブラックピートなどを入れてPHの上昇を防ぎます。
ここが肝です。
今の水はあくまでディスカスを受け入れる準備ができたという水です。
フィルターの硝化作用もまだ働いていません。
その水にディスカスを入れる事によってアンモニアが発生します。
このアンモニア、PHが高ければ、強烈な毒素となります。
そこでピートを使用しPHを下げ安全なものにしておくのです。
ピートが良く効いてPHが思った以上に下降しても全く問題はありません。
むしろ上質なタンニン酸が豊富に溶け出している証拠でディスカスの肌荒れなどを防ぎ、落ち着かせてくれます。
全てが新しい水槽なので搬入日を含めて2日程は餌は与えません。
バクテリアは毎日少量でもいいので注入し続けてください。
餌やりを始めれば当然水が汚れます。
フィルターの消化作用を助ける意味でも最初の水換えを行います。
■PHチェッカーは必需品 ブラックピートは安全にPHを下降させる
ディスカスと水その4
そこで忘れてはならないのが水換えによってPHを上昇させたくない、ということです。
そこで水換えに使用する水を予め作り置いておきます。
汲み置ける容器に水をはり、PH下降剤でPH5.5程に合わせる、最低6時間は必ずエアレーションをする。
PHを測定すればPH6.8~7.2辺りまで上がっているはずです。
しかしこの汲み置きの容器の中でPHが変化しにくい水になっていますから水槽に入れても水槽の水に刺激?を与えにくくなっています。
最初の水換えですから多くても四分の一程度にしておきましょう。
飼育日数が経過するとアンモニアから亜硝酸、亜硝酸から硝酸塩へと水中の内容物が変化していきます。
それぞれの変わり目が鍵でアンモニアや亜硝酸レベルが高く驚いて、大量に水換えしてしまうと元のただのカルキの抜けた水道水に戻ってしまいますから要注意です。
餌の量を減らしたりバクテリアを注入したりしてフィルターの能力を庇ってやるのが賢明です
。
この硝酸塩までの道のりさえ乗り越えれば後は簡単、多少の無茶も受け入れられる水質になっているはずです。
ポイントは毎日少しずつPHが下降していくことです。
■アンモニア・亜硝酸テスター
ディスカスと水その5
PHも順調に少しずつ下降する状態が続く、水換えもPHを元に戻すだけの量で事足りる。
水の色も輝く程透明でディスカスも気持ち良さげにホバリン グしている。
近付けば餌くれダンスを激しく踊る、もう最高、ディスカスホビィストにとっては至福の時ですよね?
ところがこの状態を長く続けるには、適切な水換えとフィルターの濾材のメンテナンスが欠かせません。
ご存知の通りディスカスの餌程、水質やフィルターにダメージを与える餌はありません。
例えばディスカスハンバーグ、これなんかは生肉そのもの、食べきれなかったもの(脂肪や蛋白質)が細かく溶けて水やフィルター内の濾材にダメージを与えていきます。
いくらバクテリアが働いたところで硝化能力を超えてしまうのです。
その表れとしてPHが急激に効果します。
昨日水換え してPHを上げたのにもう昨日と同じPHに下がっている。
こんな経験はありませんか?
そしてPHを上げたいが為に水換えの量が多くなる。
本当にイタチごっこ、短時間のPHの上げ下げで鰓にダメージを受けてしまう。
等々、この極端なPHの下降は硝化しきれなかったものが酸化した為、古くなり表面に脂肪や蛋白がへばり付いた濾材ではまともな硝化作用は望めません。
水換えだけでは追いつかないPHの下降、もう濾材の交換しかありません。
■ディスカスの主食 ハンバーグ あらゆる必要な栄養分を詰め込んである
■気持ち良さそうにホバリング
■エサくれダンスを踊る
ディスカスと水その6
濾材の交換時期は水換えではPHを上げきれなくなった時です。
そうなる前に交換しておくのが良いのは言う間でもありません。
ディスカスの収容数と水量によって濾材の傷みも異なりますが、
早ければ3か月、遅くとも6か月で交換時期がくるはずです。
その間当然詰まりなどがおきない様に飼育水などで濯いでやってください。
えーっ随分まめに交換するんですね?と聞かれますが、
考えてもみてください、
濾材表面にこびり付いた脂肪や蛋白質は水洗いしただけでは到底取りきれません。
中には水洗いして天日で干せばいい、と言われる方もいらっしゃいますが、
それこそとんでもない事ですよ、取りきれてない脂肪や蛋白を天日で干せば、、、、?
想像してみてください、まるで即席のビーフジャーキーみたいなもの、それをもう一度フィルター内に戻せますか?と、PHを下降させている要因を取り除かない事には何も変わりません。
今、どんなフィルターをお使いであっても肝は一度に全てを換えない事です。
30%から50%をまず取り換えます。
換える所はフィルターの入口に近い所を取り出し、その場所に残りの濾材をスライドさせます。
その空いたスペースに新しい濾材を入れます。
つまり水の流れのあたりが先の方に古い濾材、その後に新しい濾材をセットしバクテリアが新しい濾材に早く定着する様にします。
そこからが肝心な所で残りの濾材をいつ交換するかと言う事です。
新しい濾材にバクテリアが定着するのに1か月弱、PHがまた早く下降しそうになってきた時がその時期です。
最初の交換時と同じ方法で取り替えてください。
30%も50%も考え方は同じですが、30%の交換のほうが頻繁にとなります。
あと濾材を交換したら必ずバクテリアを注入してフィルターを助けてやってください。
その日は餌は与えないほうがいいでしょう。
この方法でPHの下降を抑えるのが最もディスカスに優しい方法だと思います。
■究極の濾材「ゼオセラ」 天然のゼオライトが主原料
ディスカスと水その7
よくディスカスは毎日水換えするんでしょ?と聞かれますが、答えはノーです。
毎日水替えするのであればフィルターは必要ありません。
ペナンの様に 水道水がそのまま使用出来て時間がたっぷりある、と言うなら別ですがそうはいかないのが日常です。
確かに水換えは気持ちいいものです。
ところがそれが毎日だったらどうでしょう?大変ですよね?それを補ってくれるのがフィルターの役目です。
ではどの様なフィルターがディスカス飼育に合っているのか?
まず理想でいえばオーバーフロー方式、水槽の下にセットする為大きなものが使えます。
次に上部フィルター、これも出来れば大型のものが良い。
ただ水槽の上にセットする為重量が問題になります。
そこでウエット&ドライの方式にして重量増を抑え、濾過能力を高めるのも一手です。
フィルターに関しては必ず大は小を兼ねると言いきれます。
うちでは大方がオーバーフローになっていて1スパン1トン、
その内フィルターが約200L、と言う事は濾過面積20%、
ところが普通の上部フィルターであればせいぜい100Lに対して僅か1L、つまり1%の濾過面積しかありません。
能力 は?言わずと知れてますよね?
販売の為の水槽ですから多くのディスカスが入っているにしても、普通の上部フィルターの所はほぼ毎日水換えしますがオーバーフローの方は週に2回程、これ程までに濾過面積の大小で水換えのスパンは変わるのです。
あと外部フィルターも使えますがあまりお勧めできません。
と言うのも密閉されている為に嫌気層となり易くかなり早い段階からPHの急降下が始まります。
■オーバーフローのフィルター
■ウェット&ドライフィルター ウェットで濾過した水がドライに流れ込む優れ物
ディスカスと水その8
ディスカスを飼育していくなかで最も重要なのは水換えなのは言うまでもない。
フィルターで処理し切れない不純物の除去や下降したPHを元に戻すには適切な水換えが必要、と言う方が正しいか?
でもいくら日本の水道水が安全とは言っても、そのまま使用する事はお薦めできない。
地域によっては蛇口をひねればPH6.5、マイクロジーメンス60なんて所も日本にあるらしいが、平均してPH7.2~7.4、マイクロジーメンス180~220を指す所が多い様だ。
この水を使って水換えするのだが、夏場で水温が合っているから、また冬場であったら湯沸かし器を通して水温を合わせ、カルキを抜いてそのまま使用する、
もしくは浄水器を通して直接水槽に入れていく人が多い様だ。
これが実は良くないんですよね?
いくら安全な水道水といっても色々な不純物が含まれています。
その不純物がPHやGH,KHの数値の元なのですが、その数値は空気に触れる事によって必ず上昇します。
その上昇する変化を飼育水の中でさせたくないのです。
PHが7.2であっても実際はPH7.8以上の水を使っている事になり、急激なPHの上昇を招いてしまいます。
これを繰り返せば必ず呼吸器である鰓に害を及ぼします。
では、どの様にすれば良いのか?
そこで水を汲み置く、事が重要になってくるのです。
■ディスカスの水換え
ディスカスと水その9
汲み置きタンクの使い方、意外と知られていないのがエアーレーションの必要性、
ただ水を汲み置いただけでは、カルキは抜けてもまだまだ変化する危険な水だと言う事、
何リッターであろうと必ずエアーレーションを行い曝気させる必要がある。
要は汲み置きの水に空気を送り込み攪拌させる事によって、PHやGH,KHを汲み置きタンクの中で変化させて安全に水換え出来る水を作る。
例えば
飼育水槽の理想のPHが6.5であったとする。
フィルター内の濾材が上手く働いていれば、過密飼育していない限り一日にPHは0.1~0.2下降する。
1週間たったとしよう。
PHは5.1~5.8になっているはず、
これをもとのPH6.5以上に上げる量の水替えをする。
これはPHの下降具合によるが5.1~6.5に上げるのと5.8~6.5に上げるのではわけが違う。
PH差が1以上違っている場合はそれだけ多くの水量を水換えする必要がありディスカスの鰓にダメージを与えかねない。
以前にもお話した様にペナンあたりではPHもマイクロジーメンスも低い水が蛇口をひねるだけで手に入る。
年中熱いので温度も気にせずそのまま汲み置いてエアーレーションし大量に水換えする。
それにフィルターも使わないので飼育水はただ汚れるだけ、汚れたら水換えするというシンプル極まりないやり方だ。
それと同じ水質があれば汲み置きの水は加工せずに使ってもいいのだがここではそうはいかない。
そこで飼育水のPHの下降具合により汲み置きタンクの水を調整する必要がある。
■どんなファームもエアレーションのみのシンプルな飼育設備(ペナン)
■水が餌で汚れれば取り換える。90%は換えてしまう。(ペナン)
ディスカスと水その10
汲み置きの水に使用する水、おかしな言い方かもしれないが水道の蛇口から直接か?
浄水器を通すか?
汲み置いてエアーレーションして曝気させるのだからカルキは抜けるにしても、
やはり水質に影響する重金属類などを除去する浄水器を使用する方が良い。
よく家庭用の浄水器を通した水は大丈夫ですか?と聞かれるがその浄水器によって能力に差があるので簡単にはハイ、と言えない。
実際、アルカリイオン水を作る浄水器もあるのだからまずお持ちの浄水器から出てくる水を計測する事をお勧めします。
さて、汲み置きタンクに水をはりました。
水道水はPH7.1、エアーレーションをかければ必ずPHは上昇します。
そこで予めPHが上昇する事を予測してPHを5.5~6.0あたりに調整してください。
6時間以上まわしていれば変化しにくい水が出来上がっています。
PHも6.8~7.0あたりになっているはずです。
この水を使って水換えしてやることによって水によるディスカスへのダメージが少なくなるのです。
■(セラ・テトラ各社 PHマイナス) 安全にPHを降下させる
■浄水器
右のシンプルは、カルキ・重金属を除去する
左のクロノスレインはRO浄水器 99%の不純物を取り除く純水製造機
ディスカスと水その11
汲み置きタンクの安全な水作りに関してご理解頂けましたでしょうか?
さて、ここからもう一つレベルの高い水作りに関してお話します。
大抵の場合PHとGH,KHは連動します。
ここまでの水作りではあえてPHを調整するのですから、PHを下降させ易い水質であればGH,KHもそれほど高くないはずです。
日本の水道水は大抵これに当てはまります。
確かにディスカス飼育には適した水だと言えるでしょう、普通に飼育するのであれば何ら問題ありません。
ところがその水をより飼育に適した水にする方法があるのです。
度々マイクロジーメンスという言葉を使いましたが、これは水の導電率を表す単位です。 純水(H2O)は電気通しません、純水に色々な不純物が混ざりあって水になり、その不純物を通電するのです。
その導電率が高い程、不純物が多く含まれていると言う事です。
不純物と言えば聞こえは悪いですが、一般にミネラルと呼ばれる有用なものも含まれます。 ここら辺りの水道水で季節によって変化しますが、マイクロジーメンスは180~200辺り、ただ、そのマイクロジーメンスに表れている数値を上げている内容物は何かは分かりません。
水道管内の鉄さびなのかも?または浄水場で使用するカルキや他の薬剤かも?近所で大きな水道管工事があった時なんかでもか なり数値は上がる様です。
ひどい所では1000を超えてしまって計測不能なんてあるみたいです。
他、不純物濃度を表す単位にppmがあります。
私達の生活上でも度々登場する単位ですよね?
表示される数値はマイクロジーメンスの約半分位だと思ってください。
ということはこの辺りのppmは90~100ppmあたりです。
■水道水から直の水、99ppmを指している。 | ■ROフィルターを通した水、6ppmを指している。 |
実際目に見えないものですから数値が上がっていても気付くわけありませんよね?
いくら安全な水道水と言っても実際分からないと言う事です。
また、最近では集合住宅(マンションなど)の貯水槽なんかも要注意ですね、年一ぐらいで清掃する様ですがどんな方法でしているのか気になる所です。
そこまで気にしたら大変だよな、と思われるでしょうが、ディスカスにとっての水は我々の空気と同じ、汚染されていていい事あるわけありません。
息?のし易い環境作りが大切です。
ディスカスと水その12
では、息のし易い水?の作り方、まずは浄水器を使用する事です。
浄水器にもそれぞれの能力があり、コットンとカーボンを通すだけでカルキ、重金属を取り除く物からそれ以上により細かいフィルターを通し水中の不純物の99%を取り除けるものまであります。
コットンとカーボンを通すだけのシンプルな物でさえ、使用するとディスカスの発色は変わるほどです。
それ以上の水を作るにはもうRO(リバースオスモシス)逆浸透膜を持つ浄水器を使用するしかありません。
このROフィルターは安全な飲料水を作るために開発された優れモノです。
例えば沖縄の離島などで地下水に含まれている塩分を除去したりするのに使用されています。
この15年ほどの間にこの優れた浄水器は小型化され、家庭用、また熱帯魚用などにポピュラーに使用されるようになりました。
さてこの熱帯魚用です、今日の水道水の数値は92ppm、それをRO浄水器(クロノスレイン)に通します。
出来あがった水の数値は6ppm、86ppmの不純物を除去しています。
この水は純水に近い超軟水です。
PHも元と変わらず計測出来ますが、PHの高い水に入れれば高く変化するし、低い所に入れれば低くなる、性格のない水と形容するしかない水です。
飲料水としてはこれ以上のものはないのですが、この水のみを使って魚を飼育するのは不可能です。
やはりppmをあげる良質なミネラル分が必要なのです。
どんなものが必要なのか?それは次回説明することとして、まずは簡単にかつ間違いなくppmを上げる方法は、コットンとカーボンを通した水で割ってやる事です。
せっかくの純水に近い水ができたのにそれをまた割ってしまうなんてナンセンスだと思われるでしょうが、これが一番失敗しない方法なのです。
写真で順に説明します。
その1 6ppmの水
その2 92ppmの水
その3 6ppmの水に92ppmの水を割っていく
その4 33ppmの水の出来あがり
というように約30ppm~40ppmの水を作ります。
汲み置きタンクの中で作るのですから簡単ですよね?
これで即席のppmの低い水の出来あがりです。
このppmの低い水で水換えしてやることによってディスカスの調子は劇的に上がります。
ディスカスと水その13
熱帯魚を趣味とする人の大半は、その故郷であるアマゾンに夢を馳せている。
世界最大のジャングルであり、それらの樹木すべてを生い茂らせる豊かな水源でもある。
ペルーのアンデスを水源として数え切れない支流を足して大西洋に流れ込む。
その支流の中でも最大のネグロ川は、正に理想的なブラックウォーターを湛えて、熱帯魚の生息に最適な環境を作り出している。
アマゾンと言えば全てがブラックウォーターだと思われがちだが、本流は勿論、多くの支流も泥質な地盤により、お汁粉を溶かした様なねっとりとした黄色がかった茶色い水だ。
この水はどうも大型のナマズ類などが好む様でこちらの思うアマゾンのイメージから少し外れてしまう。
さて、そのブラックウォーターの源、ネグロ川、それを取り巻くうっそうとしたジャングルは硅素(水晶の一歩手前のもの)でできた白砂がメインの地質でなっている。
その上に樹木が茂り、その樹木から何層にもわたって腐葉土の層が形成されている。
ジャングルに降る雨はそれらの中をゆっくりと浸透し、長ければ何年もかけてネグロ川に流れ込むらしい。
いわばこれは自然の巨大なフィルターであり、純水である雨水に天然の濾材(腐葉土や硅素)が含む良質なミネラルが溶け込み理想的な水を作りだしている。
あのコーヒーの様な真っ黒な水なのに計測すると驚きの数値を指す。
ネグロ川の本流でPH4.0~4.2 GH KH はそれぞれ1前後、驚きは僅か3~4ppmしか指さない不純物濃度だ。
この数値はROフィルターを通してでてきた純水に近い水と同等もしくはそれを上回る数値である。
その数値を上げている内容物も硅素や腐葉土から摘出されたミネラルであり、そして川であるから絶えず新しい同様の水が流れてくるからこれ以上の上質な水は無い。
■ジャングルに降った雨は小さな流れとなりミネラルを吸収しながら川へ流れ込んでいく
■そのような水質でできたラグーン 見事な水草育成環境である