6年ぶりのベトナム渡航。トラディショナルストレインを求め

2019年4月8日~11日 ベトナム渡航

       

2013年から6年ぶりのあの地ベトナムへと向かうために 今年2月末から現地サイドへと情報を集め、入念な下調べ。

4月8日から11日までの3日間、いよいよ現地セレクトに行ってまいりました。

今回の目的は過去、何度もディスカスファンを唸らせた素晴らしいベトナムトラディショナル個体と出会うため。

しかも、ベトナムフォームと言っても過言では無い理想的なハイフォーム、 かつ成長スピードが早く、若いこと、さらにこの地ならではの育成方法で育った個体に狙いを絞りつつ、、、。

さて話は変わり、何故今トラディショナルストレインなのか?

今から15年ほど前から記憶を辿ると、ディスカスブリーダーが集まる東南アジア諸国、特にペナンを中心とした各国ではスポット個体、 つまりレオパードスキンや最先端をいくレオパードスネークスキンが世界を席巻し そのスポットパターンは見るものを瞬く間に魅了している頃でもありました。

と、同時にピジョンブラッドからの派生がもたらした品種、今でいうラインタイプのレッドマップやソリッドタイプのレッドメロンなど またゴールデンタイプも様々で、いかに派手でワイルドディスカスからはかけ離れた個体の作出をするかに私の目はそう見えていました。

さらに年を重ねる毎にその完成度は上がり もはや先祖の面影はもちろん全くなくイメージ的にはまるでサイボーグのような個体が出て来た頃。

また7.8年前からだったと思いますが、 アルビノブルーダイヤを始め、 各種アルビノ品種が数多く作出されたのも記憶に新しいのではないでしょうか。

当時の最先端の品種が数多く作出されましたね。 血眼になり新たな品種の作出に余念がなかったのでしょう。

ただ、永らくディスカスに知見のある方ならご存知でしょうが、それらが席巻する以前は 香港を中心としたディスカスが流行し、ウェインやチェンワイセンなどブルー系ディスカスを始め、 レッドターコイズといったターコイズ系のディスカスが多く、当時のトレンドでもありましたね。

しかしながらペナンなどの台頭、香港などのブリーダーの減少からなのか、トレンドの移り変わりからなのか、いつしかディスカス=ブルーやターコイズの時代に終焉が訪れ、 90年代のディスカス誌に載っていたあの美しいコバルト、ブリリアント、ブルーダイヤ、レッドターコイズは数少なくなり始めたといえます。

流行り廃れはある中でブームに乗らなくてはならないブリーダー心情、 がしかしディスカスは生き物で、かつブリーディングするが故、無いものからは生まれず、増えず、、、 古き良き品種は早々に復活するわけでもなくというのは想像するに容易いことです。

もちろん現在でもそれらは存在しますが、本当に一目で唸る個体はほんの一握り。 当然現地に赴かなくては出会うことは不可能と言っても過言ではありません。

ですから可能性あるこのベトナムに、それらが未だ残り脈々と血統維持されていることから今回に の現地セレクトに至ります。

そのベトナムディスカスの歴史は古く、現地サイド曰く過去香港ディスカスが持ち込まれそれを脈々と血を守っているようです。 しかしながら、先程のブリーダー心情からすれば、今なおそれらの血を守るブリーダーもベトナムでもほんの一握り。 だからこそこれらの血は本当に希少なのだと実感しています。

話はそれましたが 心踊らせ日本を出国し、8日15時あたりにベトナムへ入国。




現地入り初日

ホテルにチェックインし、現地案内人と落ち合う。

入国後の初日は移動時間に費やしたため、時間の許す限りと実績あるファームへと訪れました。

はたして、求めている個体はいるのかといささかの心配をよそに、、、。

1軒目

やはり過去実績あるだけに今なおその個体は存在していました。

安堵と興奮が入り混じりとりあえずまずはファームの全てを見て回る。

独自の育成方法からなるハイフォーム、生後1年半を待たずして20センチまで成長する個体。

その根拠にボディの鱗はきめ細やかで錆びた様子もなく、さらにサイズに似つかわしく無い小さな目が全てを物語ってます。

驚くべきはそれらを何十年も系統維持すること、 さらにこのブリーダーはフルサイズの素晴らしい個体を複数持っており、ペアに至っては少なくとも15から20ペアとその全てがブリーディング用であるから驚きです。

ディスカスのブリードを熟知し長い先を見据えた事とも言えるでしょう。

我々の心情からは喉から手が出るほど根こそぎ掬いたいという気持ちを抑えて時間の関係上、明日もう一度来るからと言い残し後にしましたが、後はそれらをどこまでの個体をセレクトできるのかどうかだけ、、。

2軒目

そして、次の2軒目のブリーダーでもベトナムならではのピジョン系のスペシャル個体を見つけた。

驚くべきハイフォームはもちろん、この数年で何があったのかと思う劇的な進化。

その発育やフォームからは血を濃くしたのではなく独自の進化を遂げており、もはや体にパターンの無い部分は皆無。

下顎のほんの少しの部分以外は全て美しいラインが入る極上個体ばかり。

独特のフェイスのパターンの入り方ももこれまでには無かった個体ですね。

他国のそれとは全くと言って良いほどの完成度からは過去の同じようなタイプを見た際に これ以上の進化は期待できないかなと思った気持ちはこれを見れば安易に考え過ぎていたのだなと実感した。

こちらも再度訪れることを話し初日を終えることにした。

現地入り2日目

1軒目

この日は朝から2時間かけ拠点エリアより移動したがこのファーム、最近増設したようだか、 見る限り求めている個体はおらず後にした。

時間が無駄だったようにも感じたが、次回につながればと思う。

2軒目

さらに道を急ぎ郊外のファームへ。日本では考えられない汚れた川の土手を歩きついた先は昔ながらのタタキ池を使ったファームであったがそれといったものもなく1軒目同様後にした。







現地セレクトといっても今回のように訪れるも何もなく帰るといったことは慣れるしかない。

3軒目

こちらは近年アジア圏では流行りのアルビノ個体ばかりのファームへ。

アルビノブルーダイヤを始め、アルビノレッドマップやアルビノゴールデン、アルビノゴールデンチェッカーなど 中でも目を引いたのがアルビノソリッドレッドではあるが見事なブルーアーチを持った個体。

ペナンでも今はアルビノのブリーディングが盛んらしいが、このタイプは少し趣が違う。

ソリッド個体だけにまず大事なフォーム、それに加えてこの種はアルビノといえど如何にアーチを持っているかが重要です。

中でも赤の色彩が強い個体、将来性ある個体、メリハリあり、よりアーチが強調された18個体を個体を選別し後にした。



4軒目

普通の民家の中にあるが3階まで行くとブリーディングルームがある。

ブルー系ばかり目が行き特に目新しいものが無いと思っていたが、一番奥の水槽にいたボディはもちろんフェイスにもより緻密にパターンの入ったピジョンを20個体ほどセレクトした。


昨日のアレとはまた違うタイプといえます。

5軒目

かれこれ17時近くなり交通ラッシュが気になる。



サイズの大きなレッドメロン、ホワイトダイヤ、ゴールデンがいたが、求めている個体とは違いそのファームを後にし、 いよいよ本丸の昨日訪れた2軒へと移動。

6軒目

今回の目的を十分に満たしてくれそうなこのファームでは、 まずはトラディショナルコバルトの12センチほどのサイズを選った。

まさに独特なコバルトらしいブルー、あの親から得た個体だけにサラブレッドといえます。 その良さに全てを買い付けた。


次はジャイアントフローラルの12センチほどのサイズを選ぶ。

素晴らしいことに渋い赤のラインはともかくブラックアーチがしっかりと入り、これこそトラディショナルタイプと言える。

先程のコバルト同様全てを買い付けた。


他にも、コバルト、ジャイアントフローラル共に6から7センチサイズも全て買い付け、いよいよ話は本題へ。

狙いはあの20センチ近い個体群。

交渉の末、まずはブリーディング用にストックしているコバルト、次にジャイアントフローラルと選別した。





あまりの大きな個体に興奮したが、 それは序章に過ぎず、最後に完全なる現地ブリーディングペアを譲って欲しいと話した。

やはり現地に行くと良いことがあるのだろう。

中でも素晴らしい完全ペアの3ペアとペアの中でも際立ったオスを数匹選別することに成功。

どれも若く、デカイ。圧倒的なオーラを感じますね。

このようなセレクトをOKしてくれることは通常考えられないことです・・・。







7軒目

こちらも昨日訪れた本丸の一つ。

交渉の末、50匹いる中で飛び抜けた15個体を吟味し、2日目を終えた。



明日が最終日、、、。まだあれがない、、、。

現地セレクト最終日

1軒目

2日目同様2時間かけて移動し、数件ファームがあるエリアへ。

2軒目から4軒目

一気に3軒回るがまさかの空振り。

また2時間かけて帰るが帰国日になるため17時には終えなくてはならない。

気持ちが焦りだす。現地セレクトしに来たからには収穫が無いわけにもいかず、しかし妥協もしたくないし、、、。

時間的にもあと1軒は行けるようなので車を走らせる。

5軒目

まぁ時間を惜しまないと良いことがあった。

最後の最後にスーパーブリリアントの15センチほどの個体を見つけ当然セレクトした。

あとはあれだけだと探すと、ようやくお眼鏡に叶うブルースコーピオンがいた。

均等の取れたフォーム、ブルー地がボディで潰れてベタ青ではなくスネークスキンのパターンを持ったブルースコーピオン。

かなり粒ぞろいのロットだったが贅沢な選別をしトップクラスを手にした。



ここからはもう帰らないとならないので5軒目に行くがここでは選別することなく今回の現地セレクトを終えた。

ブリーダーのストック水槽やペアリング中のブリーディング水槽



成長が早く大型化するベトナムディスカスに欠かせない生餌のイトメ。生餌に加えディスカスハンバーグを与えるのだから生後1年ほどで18-20㎝近く成長するのもうなずける


日本では見かけることの無い交通状況や景色






対照的な近代的かつ成長度がわかる都会